南紀・熊野エリアには、昔ながらの潜水橋や吊り橋が各地に残されています。古くからある橋が大雨で流出しても、地域の人々の声から復旧され、今も残っている地域の暮らしに密着して利用されているものです。
増水時は通れないこともあったり、流出・復元を繰り返したりしているうちに、廃止されたり、あるいは頑丈な橋に掛け替えられたりして、かつてはあちこちにあった潜水橋も吊り橋もだんだんと少なくなってきています。
一方で、かつては、船で渡っていたところが美しく立派な橋で新たな絶景となったところもあります。ここでは新旧の橋の絶景をご紹介します。
潜水橋
水害にみまわれることが多い南紀・熊野地方では、洪水で破壊されない橋を架ける必要があり、らんかんなどの水の抵抗を受けるもののない潜水橋が架けらました。四国の四万十川の沈下橋を参考にしてつくられたといわれています。今も古座川と富田川に残り、この地域の自然や文化をしるスポットとして、南紀熊野ジオパークのジオサイトに指定されています。
古座川の潜水橋
上富田町の潜水橋
吊り橋
南紀・熊野の山あいにはたくさんの吊り橋が架かっています。ドライブの合間や、ランチやカフェに立ち寄ったお店の窓から見つけることもできるかもしれません。
谷瀬の吊り橋
奈良県吉野郡十津川村にある吊り橋。観光用の吊り橋ではない生活用の吊り橋としては日本一の吊り橋。奈良県橿原市大和八木駅と和歌山県新宮市新宮駅を結ぶ日本一長い路線バスもここで20分停車します。
柳本橋
奈良県吉野郡十津川村にある吊り橋。美しい色合いのダム湖の上を渡ります。熊野古道小辺路のルートとして人気です。
山彦橋
和歌山県東牟婁郡北山村と三重県熊野市を結びます。瀞峡にかかる吊り橋。筏師の道のウォーキングルートになっています。瀞峡の絶景に欠かせないポイントになっています。
上瀞橋
和歌山県東牟婁郡北山村と三重県熊野市を結びます。瀞峡に架かる吊り橋で、1トンまでの自動車が渡れることで有名です。エメラルドグリーンが美しい小森ダムのダム湖の上を渡ります。
昇降式可動橋
江ノ浦橋
三重県北牟婁郡紀北町にある橋。船が通るときに橋の中央が高く上がり、船が通れるようになります。近くに江ノ浦大橋ができたので、廃止される予定でしたが、地元の住民の強い希望により、徒歩・二輪車専用で今も利用されています。
ループ橋
ぐるっと円を描くような形のループ橋。全国的にも珍しい形です。南紀・熊野には海に映えるループ橋が2箇所あります。
くしもと大橋
1999年(平成11年)開通した、串本本土と大島をつなぐ架橋。串本側のループと大島側の直線部分の対比が美しい橋です。(ループ橋386m、大橋290m)。この橋の開通により、串本と大島を結ぶフェリーと巡航船は廃止されました。
江ノ浦大橋
江之浦湾に掛かる江ノ浦大橋は1971年(昭和46年)に完成した474mの橋。上から見た形がギリシャ文字のαの形をしていることからアルファ橋とも呼ばれています。
南紀・熊野では山深く、各地に吊り橋があります。リアス式海岸の複雑な入り江での行き来を容易にするために、海の橋も各地にあります。日常生活に密着した橋の美しさも南紀・熊野の魅力です。観光地への移動の途中に、ぜひ訪れてみてください。
また、近年は道路の改良がすすみ、見事な構造の橋が深い山の中や、海岸線で利用されていることもあります。自然と建造物とのコントラストが際立った新たな絶景もお楽しみください。